八雲神詠(やくもしんえい)

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出雲いずもの国、肥ひの川の川上、鳥髪とりかみの地。そこに住まう足名椎命あしなづちのみことは娘の櫛名田比売くしなだひめとともに自分の運命を嘆いていました。これまで八岐大蛇やまたのおろちに七人の娘たちを食べられ、一人残ったこの娘も今夜食べられることになっているのです。
足名椎命が八度の発酵を重ねて醸かもした強い酒「八塩折酒やしおりのさけ」を仕込んでいると、一点にわかにかき曇り、甕かめに恐ろしい八岐大蛇の姿が映りました。舞い降りた八岐大蛇は酒を見つけて飲み、酔いつぶれてしまいます。
そこへ、乱暴狼藉らんぼうろうぜきによって高天原たかまがはらを追放された素戔鳴尊すさのおのみことが降り立ち、十拳剣とつかのつるぎで迎え撃ち、死闘の末に八岐大蛇を退治します。
素戔嗚尊は切り裂いた尾から出てきた天叢雲剣あめのむらくものつるぎ(草薙くさなぎの剣)を天照大御神あまてらすおおみかみに献上し、櫛名田比売を妻にして、めでたく出雲の須賀すがに宮を構えました。
最後に足名椎命が今までの苦難を振り返りながら喜びを表し舞います。

足名椎命
国紙大山津三神くにかみおおやまつみのかみの子。

櫛名田比売
足名椎命の八番目の娘。

八岐大蛇
八頭八尾はっとうはちびの大蛇。

素戔鳴尊
伊弉諾尊いざなぎのみことの神産みによって生まれた三貴子の末子である一柱の神。

三貴子さんきし
伊弉諾尊・伊弉冉命いざなみのみことは仲のよい国産み、神産みの神で、大八洲島国おおやしまくにと山川草木を産んだ。そこでこの国に君たる神を産むことにして、日の神である天照大神、月の神である月読尊つくよみのみこと、荒ぶる素戔嗚尊の三柱の神を産んだ。
この三柱の神はその尊さゆえに三貴子と呼ばれている。

素戔嗚尊の
謡うたい
素戔嗚尊が謡う

「八雲立つ 出雲八重垣 妻込みに 八重垣つくる その八重垣を」

(八重に雲は立ち上る。その名も出雲の国に雲は立ち八重の玉垣を成して私の宮を取り囲む。今、妻を得て雲はそれを閉じ込めるように雲は立ち、八重の玉垣を作る)

は、和歌の始まりといわれており、この謡にちなんで本演目は「八雲神詠」と呼ばれる。
足名椎命
櫛名田比売
八岐大蛇
素戔嗚尊
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